千葉真一as 八海山理事長

インタビュー

千葉真一as 八海山理事長

監督デビュー作の『赦免花』は人情時代劇でしたが、二作目でまったくタイプの異なる『歌舞伎町はいすくーる』を選ばれた理由は?

「もともとは、那須真知子さんが那須博之監督(※那須真知子の夫で、『ビー・バップ・ハイスクール』などで知られる映画監督。2005年逝去)のために書かれた本らしいのですが、書き終えた時に那須監督が亡くなってしまった‥‥。真知子さんご自身、『誰かが(那須監督の遺志を継いで)現実化してくれないかな』とずっと思っていたらしく、そこに僕が突然現れた(笑)」

確かに、『歌舞伎町〜』には『ビー・バップ・ハイスクール』で描かれたような、喧嘩+青春+コメディというテイストが溢れていますね。

「それはちょっと意識しました。もともとアクションが好きなんですけど、この台本には笑いの要素も多かったので、自分ならどうやって撮れるかなと。実は、あえて現場にスクリプターを入れないで撮って、わざと突っ込みどころがいっぱいあるようにしてあるんです。異化効果を狙うことで、ラストに向けて「実は、○○なんだよ」っていうイメージを、先に与えておこうと思ったんです」

歌舞伎町でのロケ撮影について、思い出に残っているエピソードはありますか?

「来夢を探しに行った剣とキクマサと大霧が、横一列に並んで歩いていくところです。僕のイメージでは歌舞伎町の看板を背に三人をGメン75みたいに歩かせたかった。ただ、街のひとたちが振り向いちゃうのが嫌だったので、許可は取ってあるけどゲリラ的に撮影したんです。三人をステディカムというロボットのようなキャメラが狙ってるから、バレるんじゃないかと思ったら、誰にも気付かれずにいけちゃった。歌舞伎町って、立ち止まった瞬間に気付かれちゃう。動いてないと死んじゃう、生き物みたいな街ですね」

最後に、本作をご覧になるお客さんへのメッセージをお願いします。

「ひと言で言ったら、うるさい映画です。最低でも二十分に一回は飽きさせない展開を用意しています。やたらと伏線が多いし、その伏線を意識して作っていましたから。見終わったらすぐ忘れられちゃってもいいんです。見ている間はただ楽しんで、面白かったねって言ってもらえれば最高ですね」